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Diary|My Best Hits from 2013 to 2015

中川裕貴による2013年~2015年の様々な表現のベストヒット記録。

 

<2015年>

■録音作品

1. D'Angelo And The Vanguard - Black Messiah

2. Brian - Brian

3. Mocky - Key Change

4. Oneohtrix Point Never - Garden of delete

5. Tyondai Braxton - Hive1

6. 滝沢朋恵 - 私、粉になって

7. group_inou - MAP

8. People in the box - Tiny organ

9. LORENZO SENNI - SUPERIMPOSITIONS

10. 津川雅彦,朝丘雪路 - Do you!(ドウヨウ)


順不同。リリース年関係なく今年自分が聴いたものです。

1はディアンジェロ聴いたことなかったのですが、結構騒がれてたので聴きました。特に自分から言うことないですが、アレンジとか音とか凄く良くて、あとこういうスイートな感じが自分もようやく良いと受け入れられるようになってきました。普通の音楽のアレンジとしてかなり勉強になりました。


2、今年一番の衝撃はこれかも。但し音がというより、MVなども含めたトータルな評価として。とりあえず下記の映像に感銘を受けました。音も誰でも作れそうな感じの中に見え隠れするオリジナリティーみたいなものもある気がするし、何より映像がこういう感じゆえに面白い。これは確かtwitterでyoupyさんが挙げてらしたのをみて遭遇しました。これで初めてbandcampに金落とした。あとこれ観て、ダンス特にコンテンポラリーダンスへの興味というものからの乖離にラストパンチを食らいました。これは勿論「身体」そのものではないですが、個人的にはこれ観ていたらあまり劇場やスペースにダンスを観にいかなくて大丈夫です。満足。


3、これもディアンジェロと同じ感覚で、アレンジが非常に普通に良く勉強になりました(勉強してもそれが生かされることがこの人生にあるかはわかりませんが)。前作よりアレンジ面で大きく進化しているように感じます。京都でライブをみましたが、それも良かった。モッキ―本人のドカドカしたドラムに「ああ~なんかアメリカとかそういうのや~(アメリカじゃないけど)」と思いました。


4は2年前くらいから好きでまあまあ追いかけているOPN。新作もまずまず良かったです。ナインインチのツアー同行してたからなのか、なんかインダストリアル色が増している感じがするのと、悪趣味度が上がってました。なんか4曲目のPVも酷い感じでした(PV自体は前作の感じが好き)。ただOPNに関してはこう音色で畳み掛けるのも才能あるので良いと思いますが(たまによく解からない休符が入ったりしてそれは良い)、またReplicaみたいな低解像度の向こうに悪意と美しさが垣間見えるような作品をまた作って欲しいと思います。がWARPにいる限りは無理か。


5はリリース時に視聴して聴いて、全くピンとこずスルーしてましたが、最近買って聞いたら、びっくりするくらい良かったです。新しいことしてるやんと思いました。なんでこいつがnonsuchからとか思ってすみませんでした。モジュラー系?の電子音の上に生楽器などが入り、構成されていく楽曲は大変ユニークに感じましたし、いろいろな旧来の現代音楽/電子音楽的なものを一番うまく「こちら側の時代」に持ってきている感じがしました。


6の滝沢さん今年初めてライブみて、そのときにCD購入しました。ライブがひじょうに印象に残って、CDはまた別物だなと思ってましたが、先日聴いたらやっぱとても良いなと。収録曲「本の中」は個人的にはどうしてもジーンウルフ「デス博士の島その他の物語」のことを想ってしまいます。また関西でライブもみたいです。前にも言ったけれど、”この辺り”は滝沢さんとその他短編ズにいろいろ任せておいたらOK。最近の自分の中にある好きな女性で、歌に関わるヒトということなら、この2グループで十分です。


7,8はミーハー的なところですが、カーステで聴くのにはとても良かったです。両者ともに感じるのは、表現の形式についてマイナーチェンジのみでどんどん良くなっている気がします。技や引き出しが嫌味なく必然性を持って増えてきている感じは、普通に尊敬してますし、続けることの大切さを否応なしに感じます。特に8に関しては余り自分の周辺では誰も言わないですが、これJロック/歌を中心とした表現として、かなりすごいところまで到達しているのでは無いかと思います。いや普通に凄くて、自分が歌ものやる意味を薄れさせられます。


9は"Pointillistic Trance(点描的トランス)"というアイデアの基にしているらしい作品で、なるほど熱狂やパーティーが点描化されている感じはします。なので自分でもかなり好感を持って聴けます。レコードで所有してますが、盤がゴールドなのも〇。なんとも言えないアンニュイさがある気が。


10はなんで見つけたか忘れましたが、「津川一家が家族で金をかけて童謡を歌っている」、そしてタイトルが「Do you?」ということに買わずにはおられず、アマゾンで叩き落としました。短編ズ・森脇さんの企画「学校ごっこ」ではこれを使い「音楽(悪い)」という授業もして、これの1インパクトで皆さんにお声掛けも頂きましたので、津川一家には感謝しないといけないと思いますが、感謝はしてません。収録曲の中では「証城寺の狸囃子」「大きな古時計」が劇薬です。


次点:

・Aphex Twin - Syro

・Terje Todd - It's Album Time

・Mark Fell - Periodic orbits of a dynamic system related to a knot

・core of bells - ム『怪物さんと退屈くんの12ヵ月』全記録Box Set

・Powell - Powell

・その他の短編ズ - 13

・Mark Fell & Gábor Lázár - The Neurobiology Of Moral Decision Making

・Jean-Luc Guionnet / Eric La Casa - Home: Handover


今年もMark fell関連はたくさん聴きました。あとAphexはSyroとその後出たのを良く聴きました。本当に良くできている曲が多くて改めてすごいなと思いました。あとどれもいつ作ったかがわからない感じで不気味です。コアベルボックスは思い立って東京にライブをみた後に会場で購入しました。まだすべて見れてないのですが、最後の公演CDの中で「エレクトロにか」「モグワイ」と連呼しているところがあって、言葉の選択が秀逸だと思いました。モグワイって面白い響きだ。Powellは普通にかっこいい。個人的にはpan sonic的な感じもしますがもう少しフットワーク軽めで良い。短編ズは音源よりライブですが、アルバムのルールという曲のズレた4つ打ちには自分の何かを励まされました。Jean-Luc Guionnet / Eric La Casaの4枚組はどれだけ自分がこの作品を理解できているか怪しい部分がありますが、とても興味深いものでした。たぶんずっと聴いていられるであろう作品。家や音楽、記憶についての音/音楽。



■舞台/ライブ:

<ライブ>

1. 滝沢朋恵@ZANPANO

2. attc vs koharu@高尾小

3. その他の短編ズ@金山ブラジルコーヒー

4. Mocky@UrBANGUILD


→順不同。今年ほとんど純粋なお客としてライブを観にいってない。1は5月、学校ごっこの後にZNPANOでみた滝沢さんのライブ。そのときの感想twitterに言ったと思いますが、靄や霧が立ち込めたような声が段々と音(ギター)と一緒に「かたち」「言葉」になってくる様が大変スリリングに聴こえました。またライブをみたいと思います。2は高尾小フェスでのattc×koharu。CDで聴いてたのが目の前でしかもダイナミックに立ち上がっていて、かなり最高な感じでした。小春さんが茶釜~茶釜~といってはる曲が生で聴けて大変うれしかったです。楽しかった。3は名古屋で短編ズと入江さんのライブでした。最初にやった演劇みたいなのがとても印象に残っています(どんなのかは忘れた)。舞台もライブもそれなりに観ているのですが、短編ズがやっているあの「ステージ」は代替不可能な感じで、大変貴重で、視えていることに幸運を感じます。4はモッキ―のツアー@Urです。いつもUrに居なさそうな趣味良さそうなアサさ―がいっぱいいました。ライブかなりアッパーな感じでモッキ―本人も楽しそうだし、key changeの楽曲を生で再現度高めで聴けて良かったです。



<舞台>

1. 岡崎藝術座 『イスラ! イスラ! イスラ!』@京都芸術センター

2. 岡崎藝術座『+51 アビアシオン, サンボルハ』@立誠小学校

3. 村川拓也 『エヴェレットゴーストラインズ(ver.D)』@京都芸術センター

4. 目黑大路『ナレノハテ』@仙台市宮城野区文化センター パトナシアター

5. 桑折 現×木藤純子×中川裕貴『CH』@アトリエ劇研


→順不同1,2は岡崎藝術座、両作品は兄弟的と言われており、そのどちらも見ましたが、いずれも素晴らしく反芻が必要なものでした。溢れるモノローグの連続に朦朧とはなるものの、その言葉のひとつひとつが自分の何かを掴んでいるような気がして、単純な「演劇体験」とは言えないその感じからも、何かしら新しいものを感じています。買った戯曲をまた読み直さないと。

3は初演も見た、村川さんの 『エヴェレットゴーストラインズ』の再演。Ver.Dというのをみましたが、これは街でティッシュ配りの要領で時間と場所とやることが書かれた紙をヒトに渡し、その紙を貰ったひとが劇場に来るのをひたすら待つというものでした。と言いましたが、言ったことと実際眼の前で起こったことの間には、大きな落差があり、観ていないとなかなか掴めないものだと思います。これもいわゆる演劇体験とは少し離れたところにある気がしました。不在が雄弁に語ること。

4は今年頭に参加した「踊りにいくぜ」というダンス企画でいくつかの会場でご一緒した目黑大路さんの作品。3つくらいの会場で拝見しましたが、個人的にはこの仙台でのものがベストでした。目黒さんも含む出演者3人の個性がすごく、メタやベタを越えたところにある、人や身体の意味を感じました。珍しく広い可能性をもった「ダンス/舞踏」作品やと思いました(とか言えるほどダンスも舞踏も見てないですが)。5は今年頑張った企画でしたのでご愛嬌。



■その他・小説、戯曲、映画など

筒井康隆「モナドの領域」「朝のガズパール」

ゴダール「さらば、愛の言葉よ」

岡田利規『スーパープレミアムソフトWバニラリッチ』『God bless baseball』

岸政彦『断片的なものの社会学』

千葉雅也『別のしかたで』

アサダワタル『表現のたね』


→モナドの領域はかなり感動しました。知性、物語、そしてそれらを台無しする手法などなど、ありとあらゆるものの結実みたいなものをみました。朝のガスパールもひたすら面白く、特に人を罵倒することに関してここまですさまじいものは他に知りません。自分はほとんど小説、特に日本の作家とか読まないのですが、今年はいくつか読むことができました。ゴダール3Dなんかすごかったです。左右の目で別々のことが起こっている部分があって、何を見ているかわからなくなる感じがすごかった。映写機がトラブったのかと思うような意地悪な編集も最高でした。岡田さんのスーパープレミアム・・は戯曲でしか読んでないのですが、現在地や地面と床とは異なる軽い感じのもので楽しんで読めました。あと普通にコンビニの知識が増えた。『God bless baseball』は城崎での公開中間発表をみただけで完成形が見れなかったのですが、戯曲を読み感嘆。本当でも類推でも冗談でもこじ付けでも、野球と歴史と現代がこすれ合っていく感じが非常にスリリングでした。上演を観なくとも、戯曲と中間発表の記憶だけでも満足できた。岸政彦『断片的なものの社会学』、千葉雅也『別のしかたで』、アサダワタル『表現のたね』、この3冊の中に似たような大切なものを視ます。この3冊の中の物語?がもっているものがとても羨ましく見えますが、それは今自分がしていること、これからしていくことと、どれだけの距離があるだろうとも思います。どこに居て、何を観て、何を表現するのか。

 

<2014年>

【CD/LP】

①Vhs Head / Persistence Of Vision

②meatbingo / cynically for you

③flying lotus / you are dead

④Upsetters / 14 Dub Blackboard Jungle

⑤eric la casa / Dancing in Tomelilla

⑥Oneohtrix Point Never / R Plus Seven

⑦Joane Skyler, Some Truths, Miles Whittaker, Mark Fell / 280913_1 / 280913_2

⑧Caetano Velose / Livro

⑨Vince Guaraldi / Grace Cathedral Concert

⑩TONO FUENTES / CUERDAS QUE LLORAN


→①:ビデオ(古いB級のものが多いようです)をサンプリングして、お下劣なビートや楽曲、なんとも言えないビデオ時代の風味が満載の音が多数収録。普通にアレンジやカットアップ、サンプリングのセンスがとても好きです。日本でももっと有名になってもよいのではないだろうか。あとこのアルバムのジャケットが最高。今年ナンバー1ジャケ。あとこのアルバムもですが、youytubeで公開されているミックスがこのアルバムよりさらにBPM早くて最高です。②:春から夏にかけて憑りつかれたように聴いたmeatbingo。この人と①のヒトはどちらもUKのブラックプール出身ということで、いっきに黒いプールが気になりました。何もかもがどうでもよくなってくるトランス感、そして軽い、とにかくちゃらい、いろいろおかしい、そしてタイトルからも悪意バッチりな作品です。最新作は別にありますが、こっちの方が酷いので好きです。ラスト3曲が最高でこれだけでどこまでもイケる。アルバム最終曲”bomb the 80s”が個人的ハイライト。③フライロー新譜。素晴らしかった。バカみたいな感想ですが、ジャズもとい黒人音楽のアップデートだと思いました(アルバムにはハービーハンコックも参加)。他の方も言われてますが曲の構成がかなりプログレッシブ。曲が大体行ったっきり帰ってこないで次の曲にいきます。この新譜をきっかけにjazz the new chapterとかネオソウルとかにも関心が湧いてきました。あとこのアルバム収録曲のnever catch meのMVが素晴らしかったです。感動しました。④:今年はレゲエに開眼した年でした。なので基本のlee perryを非常によく聴きました。リマスタリングされたやつだったので音が太かったです。5年前くらいまでは裏打ちとかレゲエのリズムとか死ぬほど嫌いだったのに、この体たらく。時間が怖い。lee perryもといupsettersはこれ以外にもreturn of super apeとか聴きました。このアルバムのせいで中川バンドに居酒屋甲子園という曲が生まれ、ピアノの菊池さんを始め、皆を苦しめることになりました。⑤:もう2年前くらいのリリースなのか。アクセルドナーなど参加の比較的普通のジャズバンドのライブ風景を、尊敬しているeric la casaが録音・編集した怪盤・最高盤。マイクというものが音楽の中の一つの重要な立場や視点だという当たり前のことを、この作品は教えてくれます。「100人には100人の音楽がある、私はマイク」と言ったのはリュックフェラーリ先生です。あとこの作品には、編集したライブ風景と普通のライブ風景(まっとうなジャズのライブ録音)のどちらも収録されていて、そこも大変良いコンパイルの形。やっぱりhibari musicは素晴らしいと思います。⑥:昨年はReplicaを私的ベストに挙げてましたが、今年はこちらで。一応去年から聴いていました。warpに移籍してかなり本格派、しっかりした作品になった印象。ReplicaもそうでしたがOPNは個人的には”誰もそこにいかないところ”に自分の音楽の居を構えようとしていて(でもみんな住んでる場所からはそんなに遠くない)、その絶妙に誰得?な楽曲アレンジが好きです。曲が変化するポイント、繰り返す時間、流れを断ち切るポイントなどが素晴らしく、かなり影響を受けましたし、なんか勝手に励まされた点もあります。この路線の作品はもっと聴きたいなあと思います。あとこの人のMVも非常に素晴らしいです。なんとなく不気味の谷現象を思います。⑦:これだけLP、アナログオンリー、2枚片面1アーティスト×4。パーティでのライブを収録したライブ盤。まず体裁やリリースに際してのコンセプトが好きです。それだけで買う価値ある。ほかのアーティストも良いですが、このレコードはmark fellを聴くためだけに買っても良いくらいにどんでもないライブ録音が収録されています。とにかくすごい。mark fellの使うハンドクラップの音が最高。⑧:おいおい今更かよって感じでしょうがリブロです。これ凄いですね。アレンジ鬼。楽曲鬼。個人的な意見としては、これとバートバカラックの諸々の作品が楽器を使った全うな音楽アレンジとしては最高峰なのではないかと思っています。山本精一さんが20世紀で最高の1枚と言われたと耳にしましたが、ほんとそうかもしれません。⑨:twitterでDJ威力さんが挙げられていて、チェックし、おお!っとなった作品。聖歌隊とVince Guaraldi(ピーナッツ=スヌーピーとか?のテレビ音楽とかもしているらしいヒト)のジャズバンドの混合体によるライブ録音。最初は神父のありがたい説法みたいなのからスタート。ジャズと聖歌の混合は、ジャズの軽やかさと聖歌の重なりの揺らぎで時間が解けて消えてしまいそうな感じがします。今の季節にもよい暖かい感じがします。僕はCDでしか持ってませんが、これLPやったらさらにヤバいのではないでしょうか?⑩:コロンビアのレーベル、フエンテスの社長さんであり、ミュージシャンとして活躍していたトーニョ・フエンテスのハワイアンスティールギターが炸裂するラテン音楽集。アルバムタイトル、和訳すると「泣きの弦」とのことで、ええ感じに泣いており、行ったことのないコロンビアの海沿いの夕焼けやらなんやらが勝手に想像できます。自分の自主企画ではこれと前述のmeatbingo,Vhsheadなどを完全に交互に流し、フロアに不安定感をもたらしました。


次点:

Tommy McCook / Reggae in Jazz

Eric Copeland / Joke in the Hole

House That Jackin' Built-Roots of 80's Chicago


→Tommy McCookはレゲエとジャズが融合されたもの、録音状態が悪く、時にドラムがノイズにしか聞こえないことがあり最高です。Eric Copelandはblack diceのひとで、ズレたり、とぼけたりしたサンプルやビートがさく裂する小気味の良い酩酊ビートミュージック。House That Jackin' Built-Roots of 80's Chicagoはコンピで、タイトル通り80年代のシカゴハウスが入ってます。今年はハウスにも手を出しました。ハウス・レゲエという嫌悪すべき対象だった2つの音楽ジャンルを愛してしまった一年でもあります。人を変えさせるのはなんだかんだ時間だと思いました。



【舞台、ライブなど】

①山本精一 4/20@UrBANGUILD

②空間現代 6/1@UrBANGUILD

③鈴木昭男 11/29@trace

④村川拓也 エヴェレットゴーストラインズ 10/4@京都芸術センター

⑤mark fell 3/5@metro

⑥flying lotus 5/23@ageha


→①はKatsunova企画での山本さんのギターソロ。「前の方危ないから離れてください。特にお子さん!(意訳)」みたいなMCをPAのもいちさんに言わせてから始まったギターソロは完全にブチ切れギターソロノイズ。最高でした。②は自主企画での空間現代。60分のロングセット。長い旅のようで、終盤冒頭の流れに帰ってきたときのあの感じは忘れがたい。素晴らしいライブでした。また関西でライブをみたい。③こちらも企画させて頂いた、山崎昭典さんのリリースイベントでの鈴木さんのソロ。自作楽器アナラポスを使用したソロで、今の記憶上は生きてきて一番良い音を音楽として聴いた体験でした。あとひとりでクセナキスとかリゲティ―のオーケストラ作品のような音の厚みを出されていて、ほんとうに凄すぎました。ただただ尊敬。④今年は舞台ほとんど見れてないです(fxxk!)。これは本当に良かったというとおかしいですが、作った用意された「舞台」で行われるものの中では相当納得のいくものだったと思います。なんにも難しいことは行われていないのですが、こういうのを見ることに時間を使えて良かったです。⑤初めての生マークフェル。すごかった音の角材やら鉄筋コンクリートやチタンのうっすい欠片やガラス、機械人間のハンドクラップやらパイプやらなんやらが飛んできては暴力をふるわれ、よくわからない圧で踊らされました(痙攣に近かった)。ほんとうどうやって音作ってるだ!?と思えるほど、他のひとと音が違ってなんかもう前述の鈴木さんの同じく、魔術の領域。⑥フライローのbrainfeederイベントいきました。会場のagehaがなんか楽しい感じで、東京の遊び場は楽しいな~と思いました(折角クラブで遊ぶならこれくらいのとこに来ないと意味ないな~と思いました)。ライブもスクリーン前後2面の間にフライロー+3Dプロジェクター+音でなんかすごい神々しかった。音も良いし、曲も良かったです。挙げた6つのうち、半分は自分の企画で今年はほんとうに他の方のイベントに行けなかった。みなさんすみません。今年は多分ライブ・舞台を60本くらいしていて、冷静に考えたら私サラリーマンで年間休日100ちょっとなので、・・・な感じでした。来年は数を減らして、質を上げて、もっと空とか雲とか草木とか花とか見て感動します。



【個人演奏史】

①中川裕貴+genseiichi+sonsen goccha bacco 9/4@UrBANGUILD

②中川裕貴×Ryu hankil @大分短期芸術大学 パラード2014

③中川裕貴、バンド 9/29@UrBANGUILD

④南弓子×中川裕貴 12/23@UrBANGUILD

→個人演奏史も勝手に振り返ります。①は玄くんとソンセンさんとの演奏。私の力不足でお客さんほどんどいませんでしたが、評判良かったし自分としてもなかなかの良い出来でした。このトリオはまたやりますので今度はきてほしいです。②大分でのフェスでのリュウハンキルさんとの即興。個人的には多分即興史上最高の出来。音でタマの取り合いをした感じがしました。リュウさんあとでCDくれて嬉しかったです。山内さん録音したのください。③は自主企画での中川バンド。マヘルとのツーマンでのライブ。個人的にはこのバンドで納得のいく舞台、ある程度コンセプト(音楽とたたかうこと たたかわないこと その廻りの賭け事)が出来たと思いました。冬里さんからも褒めて頂いて(出村さんの「嫌だ」という声がとてもよかったなど)嬉しかったです。④は南さんとの先日のライブ。僕今ダンスのこと本当によくわからないのですが、そんな中なんとかやれた舞台でした。来年も舞台での演奏が目白押しですが、その足ががりになる感じがしたので挙げました。



 

<2013年>

音楽:

■Mark Fell: Sentielle Objectif Actualite

マークフェルはすごい。メンバーであるSNDはいろいろと愛聴していましたが、ソロ名義は初めて聴きました。まず何より音質とリズムが最高。

最近勝手に重要視していることに「踊れることと踊れないことが同居し、重層化しているうんたらかんたら」みたいなことがあるのですがまさにそのつぼを完璧に押さえた感じです。しかし音質本当にすごい。どこかのサイトで、基本はどこにでもあるサンプル音をEQとコンプだけでここまでにしているという情報がありましたが、エレクトリック界最強の耳を持ってるのではないかと思ってしまうほどの圧倒的な音質。tr.2のビートが入ってくるまでの間、いつもわくわくして待ってます。そしてそのわたしの期待にいつも応えてくれるマークフェル兄さん。あとこれリリース元がmegoなのも少し驚いた(昔のmegoしか知らなかったので)。megoも変化しているということね。素晴らしい。あっあとMark Fell絡みでは、空間現代のリミックスby Mark Fellもとってもかっこ良かったです(選外ではありますが、空間現代「来い」もとても良かった。次回作に期待)。


■Flying Lotus: Until the Quiet Comes

年始にかけてよく聴き、最近もまた聴いてました。昨年リリースですが、私は今年のベスト10。ほとんどこれしか作品知らないですが、これも先ほど言ったような「踊れることと踊れないことが同居し、重層化しているうんたらかんたら」的な作品。楽曲のアレンジの幅が本当に広いです。ファミコンみたいな音から、ぶっといベース音、生楽器的な音、ボーカル(R&B調?)、上から下まで、左から右まで、素晴らしいバランス感覚でありました。単にエレクトリック音がいろいろ入った良盤というのでは惜しいほどの「音楽」として傑作。いろんな発見がありました。またあとで書きますが、Flying Lotusが素晴らしい才能(楽曲のアレンジ力、ほんますごい)なのは言わずもがな、リリース元のWARP、今年で見直しました。良いレーベルやんけ。


■豊田道倫: mtv

そんなにいっぱい聴いた訳ではないのですが、これは多分おそらくやっぱり、今後もいろいろと問題になりそうな予感がある盤です。簡単じゃないけど簡単、聴けたもんじゃあないけど聴ける。アレンジが本当に面白いし酷いし最高。宇波さんは本当にすごいと思っています。このアレンジだから「バンド」としての歌が鳴っているのではないかと思います。自分のやっているswimmも、これとは違うベクトルで「私的」なものが「音楽に挑む」という構図(僕にはこのCDがそういう風に見える部分があります)を作っていきたいなと思っています。とにかくこれからも思い出したかのように聴いて、聴く度に少し唖然とする怪盤であり、きっといつかの名盤。


■Perfume: Level3

著名な先生がたが良いとかいうから買ってしまいました。うん良いですね。当たり前ですがカーステとの相性抜群でよく聴きました。本当に音圧がすごい。「振り返るといるよ」「point」などが個人的には好きです。歌詞やサウンドも含めて、なんか世界仕様な感じ(良い意味で大味)がして、まさにテクノポップ界の逆に黒船ですね。


■People in the box: Weather Report

毎年毎年良い盤をお届けされている事実には頭が上がりません。今回は1曲70分弱の大作、とはいっても「曲」は20個くらいにわかれています。楽曲やアレンジが良いのは昔からですが(今回はかなり民族音楽やカントリー調のものも増えましたね)、今回はこの「1トラック」という試みに共感しました。僕はスマホじゃあないので想像ですが、これをスマホとかで聴く場合、70分の一つの線(タイムライン)が現れて、「曲」を飛ばしたいときってその線にタッチしてアクセスする場所を変えることになりますよね?そういう感じが、アルバムタイトル(Weather Report)や公開されている1曲目のプロモの世界観、またはパラシュートやタッチ&アクセスの「賭け事」(そのタイムラインのどこにパラシュートするのか)などなどのイメージが湧きました。僕にはね。いろんな試みがここでも見えて、本当に野心かつ確信的なバンドだと思い、尊敬しています。


■ECD: シーズンオフ

恋人が貸してくれてカーステで聴いて、その時にとても本当にしっくりきました。結構前の作品らしいですが、今聴けて良かったと素直を思いました。

軽いトラックに、リリック、そんなこんなで今も有効。説得することと力、私たちの「周り」を捉えたまなざしと耳について、思いました。楽曲のワンフレーズ「退屈しない読み捨てる雑誌さ」という言葉がよく頭に流れます。完全に余談ですが、僕は同じ雑誌を本当に何度も何度も意味もなく読みます(最終的には最早読んでるのかさえわからない感じ=流してるだけになります)


■Core of bells: Methodelic

決して音楽だけにはとどまらないバンド、Core of bellsがハードコアだけをほとんど純粋な心持ちだけでやっているであろうアルバム。セカンドです。イサギが良くてカッコがよくて、どうもそんなに「良い人」たちではない?。ハードコアはハードコあですが、darkthroneやdeathspell omegaなどのブラックへのリスペクトとtoe周辺への悪意だっぷりオマージュ(そのトラックだけ大学生とかに聴かせたい)、最後の方にコルサタルもびっくりな乾いた言葉たちもありましたNE。ずっと聴いてると疲れますが、それがハードコアでありブラック。救われないよ!フロアを意識!とか最近言ってるやつ(自分)は死ね!!!!楽器破壊して、サンプラーでも叩いてろ!考える暇があったら絶えずブラストしろよ!!!な良いCDデス。来年のマンスリーも楽しみですね!


■Vladislav Delay: Kuopio

Vladislav Delayの去年だかの盤です。このひとはdemon trackってアルバム?を持ってましたが、それは音が深海系(深い・重い)すぎてちょっと敬遠してましたが、このたび、Raster-notonへ移籍?をされたようで、ちょっと期待しておりました。そしたらかなり自分好みになりました。Raster-noton特有のエッジがたった感じがありつつも、それだけにならない、深さがあり(それはこの方がもともと備えていた感じ)、そして昔に比べてリズム面がかなりフロアを意識した(まだ言ってる)感じになっており、楽曲としての構成が格段に良くなったと思います。個人的なハイライトはtr.1とtr.4です。あっあと彼の参加しているmoritz von oswald trioも今年聴いてかなり好きになりました。


■「V.A. / CIRCUITS QUANTUM」

「車もってる人には、ゼヒPLAYしてみてもらいたい!360°からのレースゲームのためのサウンドトラック。」これは何より私の生活環境の変化が大きいです。最近本当に車の移動が多くて、マジで実験音楽とか聴けなくなってしまいました(なぜならそういう不規則な音は車のエンジンや社外の音で大体かき消されるから。ノイズとかすでに車内外で鳴ってるから)。そんな中、この環境変化に完璧に対応してくださった盤がこちらです。これから何度と車で「使用」させて頂く盤です。どの曲も本当にかっこよく(車無くてもおすすめです)、また各アーティストのお気に入りのレースゲームや音などレースゲームにまつわる話なども書いてあり、そちらも楽しめます。若き日のSJQのトラックにニンマリ。anna yamadaさんのトラックも入ってて驚きました。1車に一枚。小・中学生のころやってたプレイステーションのゲーム「チョロQ」がやりたくなりました。


■Oneohtrix Point Never: Replica

年末に滑り込んできた良盤。共感という点では今年のベストです。ほんまに曖昧・微妙だけど素晴らしい作品。他の方の紹介ではありますが、「歯科医院の摩擦音をはじめ、TVゲーム、くっだらない深夜のムード音楽、音楽ファンからは見向きもされないような安っぽいジャズ......とてもディスクユニオンでは買い取ってもらえそうにない価値のない音ばかり(by dommune野田氏)」が使用されていながら、それらが不思議なループ構造を持ち、楽曲(曲としてはいくぶんアンビエント・ドローン的)の中に収まっています。その「収まっている」という感じがこのアルバムのみそなような気がしています(漂うどこか憂鬱な感じも好みです。ライヒを感じる部分もあります。あと悪意もある)。こういうのをポストチルウェイブと巷では呼ぶようですが、個人的には、ミュージックコンクレートや実験系コラージュ音楽からのアップデートも多分に感じるわけで、そういう意味ではかなり共感できる部分がありました。友人が「音楽わからない人がとりあえず映像に音をつけてみようってんで作ってみた音みたい」と評していましたが、それも言い得て妙だと思いました。わたしはここで筆をおく(音楽が完成したことにする)という行為の絶妙さに感嘆しています。これとっても褒めてますよ。


時代が変わって「実験」ということの意味あいが大きく変わり、これまでの「実験」に効果や期待感が薄れる中(そもそも今何を”試す”のか?)、こういう音というのはこれまでの「実験」や「ゲンダイ」の側からでも無視のできない存在であるように感じます。なおこちらは2011年作で、今年このアーティストは先ほども挙げたWARPへ移籍、新作をリリースしています。そちらはあまり聴けてないのですが、そちらは来年もベストに上がることでしょう。僕は大学時代WARPとか馬鹿にして、いろいろ実験音楽とか”先鋭的”な音響作品・サウンドアートなどを聴きあさっていたわけですが、近年のWARP(フライングロータス、オウテカの新譜、上記アーティストの作品とプロモ映像)関係のリリースからは、なんというかエレクトリックミュージックのアップデートは勿論、今はそれ以上のものを感じてしまいます。僕が”知った”今のWARPはある意味でゲンダイの音楽や時代を捉えているとも思いました。



P.S. しかし「効果がない」「意味がない」「もう終わった」とされている「実験」の中から、終わっていないものを探す作業はこれからも必ず必要だと思っています。来年ももう少し、腰を据えてその辺りを当たっていきたいです。なおベスト次点はgoat、Hessle Audio:116 & Rising(ダブステップ・UKファンキーのコンピ)、moritz von oswald trioなど。今年は本当にエレクトリック音楽への傾倒が凄かった。自分の出す音もかなり変わった気がします。



ライブ・パフォーマンス:

■岡崎藝術座 「(飲めない人のための)ブラックコーヒー」@KAIKA

初岡崎藝術座でしたが、とってもよかったです。馬鹿みたいな当て振りや役柄とドライブする身体、そういや音楽ではフライングロータスが少し使われていましたね。ブラックな笑いも多分で、最後の女優さんの危機せまる長台詞は今でも頭にインパクトを残しています。得体のしれない演劇ってなかなかもう無いように思ってますが、その類いであったことは間違いないです。


■バイバイ 「て」@伊丹AIホール

こちらも初めてみました。まず完成度がすごい。ただただ面白かったです。役者、テキスト、構成、すべてがかみ合った素晴らしい舞台。題材もとても共感できました。あと主催の方の前説が演劇っぽくなくてとてもよかったです。


■チェルフィッチュ 「地面と床」@KAAT

今年みた中で最も「現実的」な舞台でした(それが数百年、あるいは数千年後の日本だとしても)。また同時に化石、考古学みたいな演劇だと思いました。それくらいに注意深く、または偶然にも残された「言葉」や体。ラストシーンは本当に幽霊が見えた気がした。

京都エクスペリメントの方でのこの舞台の公開稽古で、「今回の舞台に向けて、解剖学の先生を迎えてレクチャーをして貰いました」的な発言を岡田さんがされていましたが、それ(学習ってことにしておく)が単に身体的なことだけでなく、時間みたいなものにまで及んできている気がしました(歴史を通した骨や肉=演劇の中の考古学?博物学?)。これは何百年、何千年後にもその時にいた「人」にみてもらって良い演劇だと思う。そしてそういったことを思うこと自体が自分が見る舞台ではあまり無いということ。それは本当にすごいことだということを言っておきたい。


■Killer Bong ライブ@UrBANGUILD

最悪最高の糞やろうでしたね。出音が違いました(乗り込みPAの利点もあれども)。多分正常な状態でサンプラーのパッドを叩いていないでしょうが、それもなっとくな黒い煙と想像上のトーキョータブ。フロアがあがるあがる。ライブ前後もめるもめる。あんなに不穏なアバンギルドは初めてかも。今も言えることは「関係者の方々、おつかれさました」。


■Go Fishトリオ+Asuna ライブ@高尾小フェス

その前の出番だったswimmの演奏が芳しくなく、そのあとこんな素晴らしい演奏見せられて、いろいろ染みました。自分がしっかりと聴いていて、リスペクトできるチェロは故人であるtom coraと黒田さんだけなので、堪能できて良かったです。時間が淡々と流れる。それもかけがえの無いものが。そこに音がある。ないといけない。そんなことを考えさせられる素晴らしいライブでした。これが音楽や生活の正解であることはとてもわかりました。が私はいろいろあきらめずに違うものがやりたいとも思いましたので、いろいろ考えたライブでした。


■捻子ぴじん 「自己責任」@吾妻橋DXファイナル

吾妻橋DXファイナルはどれもとても良かったのですが、ベストはこれ。

基本的に自身のホラー体験をお話されていました。事細かに説明しようと思えばそれももできることでしょう。が面倒なのでしません。私たちが今現在、そして今なお(でさえ)もっている感覚(例えばリアルなホラー話を聴いた際の心持ち、見知らぬ人の理由の感じられない行動、他人の体の異常に対しての反応)などなど、、、共通感覚を「利用」したお話でした。ステージで観られる方の体はそんなに動かなくても、やり方次第で、観ている人の体に何かしらの影響を与えられるということを再確認しました。


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