中川裕貴による2016年~2018年の様々な表現のベストヒット記録。
<2018年>
【CD/レコード/録音】
1.Franz Eibner - Musik Mechanisch Und von Meisterhand
2.季節の小鳥(NHK録音集)
3.伊福部 昭 - 土俗的三連画
4.People in the box - Kodomo Rengou
5.Anton Webern - Op1~31(監修:ブーレーズ/OOAC778~781 CBS/SONY)
6.Anibal Troilo Interprete y su Orquesta - Tiempo de Anibal Troilo
7.Juan D'Arienzo y su Orquesta Tipica - D'Arienzo interpreta a Lomuto
8.Eli Keszler - Last Signs Of Speed
9.MOHAMMAD REZA MORTAZAVI - Focus
10. David Behrman - Music with Memory
1.ウィーン技術博物館に所蔵されている貴重な自動演奏機コレクション(18世紀~19世紀)の実演を録音した1972年のレコード。録音ではこれが一番良かったかも。おそらく製作者の意図ではない音、或いは当時の技術の限界によってできた機械による演奏は、大変素晴らしく、これ以上ヒトからあれこれいうのは控えさせて頂きます。聴きたい人は遊びに来てください。2.NHK録音集から、小鳥の鳴き声を集めたレコード集。格好の教材として、演奏の参考にさせて貰っています。3.伊福部先生熱が高まった年でした。映画音楽も含めて興味がわいている。この曲はなんというか時代劇みたいというか、、、とにかく独特なトーン、ハーモニーがあって好きです。この辺りの巨匠(伊福部、黛)の仕事について、どこかしらの側面を(雀の涙ほどでも良いので)受け継いでいきたいという気持ちはあります。4.よくできた盤でした。スリーピースがどうとかではなく、ほんとうに音楽のアレンジとしていくつも秀抜なものを感じます。また作品ごとに音楽の本質に近づいていっているように感じることも。この手のバンドで唯一それを感じる。5.Webernはずっと好きでしたが、たまたま中古で見つけたブーレーズ監修のレコードボックスの中の録音はいずれも素晴らしかった(そんなにクラシック詳しくないけれどブーレーズ指揮のものはなんだか密度や音の時間配置が凄い気がします)。特に「弦楽四重奏のための5つの楽章(弦楽オーケストラver)」が最高。これより深淵に近づいた音楽があるのかとさえ思ってしまう。死ぬときに聴きたい音楽ベスト3以内。6,7はアルゼンチンタンゴ。6のトロイロはアルゼンチンタンゴの最良の部分が集まったターミナルみたいな演奏が多いです。かつ技巧が本当にすごい。7のダリエンソは、ダリエンソが友人であったロムートの曲をやったやつ(なはず)。これが遺作との情報もあり。電撃のリズムとはかくありきという感じで、ザクザク切り刻み、進むタンゴです。とにかく他のタンゴに比べてテンポが速い。そして電撃の合間に差しはさまれる休符の「体感上の長さよ」(事故にすら思える長さ)が大変素晴らしい。8.日野さんのGEISTでご一緒させてもらったドラマーEliのソロ音源。9.これも日野さん経由で知った伝統酒杯太鼓・トンバクのマスター奏者のソロ音源(youtubeに挙がっているコンサートの方が映像もあるのですごさが体感できるかと)。8,9はリズムや奏法的に影響を受けていると思います。10は小杉武久氏への追悼の意を表して。Behrmanの電子音の上で遊ぶ/泳ぐような小杉さんのバイオリンがここに刻まれています。
あとは
Matt Carlson - The View From Nowhere
Igor Stravinsky - Concertino and three piece for string quartet
も良かったです。
【舞台/ライブ/映画/展示/競馬/行事】
1/25 想い出波止場@難波ベアーズ
2/17 Will Guthrie/梅田哲也@HOPKEN
ルイスブニュエル「みなごろしの天使」@みなみ会館(映画)
霊的ポリシェヴィキ(映画)
4/29 天皇賞・春@京都競馬場
5/4 ASUNA@京都・外
7/6 岡田利規 NŌ THEATER@ロームシアター京都
7/7 蛙飛行事@金峯山寺蔵王堂
ルイスブニュエル「欲望のあいまいな対象」(映画)
糸のみほとけ@奈良国立博物館(展示)
7/20 地点 忘れる日本人@ロームシアター京都
鈴木昭男 音と場の探究 @和歌山県立近代美術館(展示)
溝口健二「赤線地帯」(映画)
11/9 山川冬樹@瑞雲庵
11/18 マイルチャンピオンシップ@京都競馬場
溝口健二「近松物語」(映画)
ヒスロム「仮設するヒト」@仙台メディアテーク
デヴィッド・ロバート・ミッチェル「アンダー・ザ・シルバーレイク」(映画)
12/7 サウンド/ドラマ「おじさんと海に行く話」@京都芸術センター
→1月念願の想い出波止場でした。パンパンのベアーズでわけがなからないのに最高のライブでした。2月のWill Guthrie/梅田哲也さんは自分の企画でしたが、それぞれのソロがとても良かったこと記憶しています。4月競馬、天皇賞春、レインボーラインが最後の直線でグイグイと伸びてくるとき思わず声が出てしまった。初G1制覇→下馬→故障→引退となってしまいましたが、これからは良い父として子がターフに出てくるのを楽しみにしています。5月のASUNAさんの外でのライブ無茶苦茶良くなかったですか?。7月岡田さんの能のはとにかくスマートだった記憶が。ドイツ語での謡のようなものがポーティスヘッドみたいにも思えた。展覧会「糸のみほとけ」は物量と熱量で眩暈がするような濃度。今年というか近年最高の展覧会/イベントではなかったかと思います(比較するものではないけれど、秋に東京でみたデュシャンの展覧会はなんか微妙でした。特に後半の日本とデュシャンみたいなのが)。8月鈴木昭男さんの展示、過去のパフォーマンス映像の中にほとんどのことが既にあることを確認。11月山川さんのライブは相変わらず行為から人間を越えた側面をまじまじと見せられました。素晴らしかった。小杉武久さん亡き後、私の現存する演奏/身体におけるマスターは前述の鈴木さんと山川さんとあと数人になりそうです。競馬マイルチャンピオンシップは当てたから記憶に残ってる。仙台でみたヒスロムの展示も良かった。あと映画に関して、現時点で私の大のお気に入りはルイスブニュエルと溝口健二ということを確認しました。赤線地帯の音楽(黛さん)もすごかったですね。
【モノ(書籍)/場所】
時のかたち(SD選書270) - ジョージ・クブラー
意味がない無意味 - 千葉雅也
近代の〈物神事実〉崇拝について ―ならびに「聖像衝突」 - ブリュノ・ラトゥール
文字渦 - 円城 塔
中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく) - 國分功一郎
能とは何か - 夢野 久作
ゲンロン8 ゲームの時代
奇子 - 手塚 治虫
高野文子の漫画
トリオ(喫茶店・今出川)
喫茶ユニオン(喫茶店・烏丸御池)
喫茶サンスイ(喫茶店・和歌山)
→上から3つの本は来年の京都芸術センターの自分のイベントにも大いに影響を与えていると勝手に思っています。それと去年ベストに挙げた場所、喫茶店ニュー雲仙(京都・中書島)がなくなりまして悲哀に暮れていました。喫茶店がなくなっていっていることを幣バンドメンバーであり、喫茶店探索の師匠であるショーキーさんと勝手に憂いています(もうこの時はかえってこないのではないかと)。
<2017年>
▼録音作品:
1. Alfredo Gobbi Y Su Orquesta Típica - La Numero Cinco Y Otras Canciones
2. 相対性理論 - 天声ジングル
3. 的場実 - スペイン・ラテン音楽と共に30年
4. Toshiya Tsunoda(角田俊也) - Somasikiba
5. QRQUESTA TIPICA TOKIO - TANGO EN KIMONO
6. Supersilent - 13
7. 阿保郁夫 - タンゴの魂
8. VALERIO TRICOLI - CLONIC EARTH
→今年もとにかくアルゼンチンタンゴ。上げたのは2以外すべてレコード購入で自分も変わったなと思いました。1はバイオリン奏者アルフレド・ゴビの楽団の音源。アルゼンチンタンゴをそれなりに聴いてきましたが、アレンジの妙、情熱、美しさなどタンゴの神髄を過不足なくまたバランスよく含んでいるのはこのひとだと最近は思っています。収録されているComo Las Margaritas(マルガリータ=カクテルのように?)の男デュエット&音楽が特に最高です。2は一時的に無茶苦茶聴きました。弁天様はスピリチュアという曲が好きでした。でも多分もう聴きません(一時的に沢山きくのは以後ほとんど聞かない)。3は日本にアルゼンチンタンゴの紹介されることに尽力された的場実さんの自主出版によるレコード、氏のやっておられたラジオ放送の録音なども収録。これを一部拝借して芸術センターの公演もやらせて頂き、足を向けては寝られない一品。なおこちらは高円寺の円盤で購入。今年は円盤・田口さんにもお世話になりました。4はいわゆるフィールドレコーディング作品ですがなんだか度肝抜かれました。神奈川・三浦半島に伝来する死牛馬の捨て場(ソマシキ場)の場所で録音したものだそうです。これを聴けば、録音することがいかに作曲かということがわかるというか、そんな表現も陳腐であるというくらいに聴くからしか生まれない情景があることに気づかされます。5は日本人の演奏によるアルゼンチンタンゴです。秋に前述の円盤田口さんをお招きしやったイベント(make me tango)で聴かせて頂きその後、神保町のレコード屋で発見、確保しました。タイトル通りのジャケ、また収録曲はどれも最高ですが、後述する阿保郁夫さん唄のsukiyakiが本当に感動的です。あまり日本がどうとか言いたくないですが、日本人のタンゴとアルゼンチンのそれは明白に違ういがあると思います。6はノルウェーのジャズなんだかノイズなんだかわからないですが、そういうグループの13枚目。全然万人にお勧めできないですが、楽器をもって演奏して、所謂抽象的なアプローチで音楽を作っていった場合、このバンドの音=結果物はすごく高いレベルに到達している気がします(またそのレベルをずっと良い意味で維持しているのもすごいと思います)。あと今作は荒涼としているのと少し邪悪で良い。7曲目が最高。そして7は5での歌われていた阿保さんのソロ名義でのタンゴアルバム(演奏は坂本政一とオルケスタ・ティピカ・ポルテニア)です。顔がマヒする持病を治すためにタンゴの唄を偶然始めたというにわかに信じ固い逸話を持つ阿保さんの素晴らしい歌唱が堪能できます。どことなく歌に溢れている情熱と相反する弱さや憂いを感じるのが良いです。「健康とお金と恋」という最高の曲名の曲が最高です。8はいわゆる電子音楽/コンクレート(ミュージックコンクレート)ですが、これが人気あるなら、まだ世も捨てたもんじゃないなと思える抽象具合でした。語弊がありそうですが、気配的な電子音楽ともいえる気がします。
▼舞台/ライブ:
<ライブ/イベント>
▽ライブ
SKYLARK QUARTET@外(11/22)
空間現代@磔磔(4/10)
オラシオ・ロモ・セステート@神戸文化ホール(民音タンゴ・シリーズ〈48〉)(2/20)
yumbo@UrBANGUILD(3/29)
→SKYLARK QUARTET、あれは何だったんだろうか。今年1番の謎。なにもかもが何周も廻って何がなんだか=何が皮肉だかユーモアだかわからない中、突如漏れてくるバートバカラックのメロディーや布団圧縮袋に入れられたギター、ホース付き掃除機、楽譜を喰う宇波さん、、、そして誰も要請したわけではないのに始まったアンコール、そして無音の撤収風景など、、、これ言うのは簡単ですがそれがそれだけではないという感じで、凡百の演劇よりもはるかに見るところが多いライブでした。空間現代@磔磔はこのバンドの総生産という感じですさまじい演奏でした。オラシオ・ロモ・セステートは生で初めてみたアルゼンチンタンゴの楽団。初めてみたyumboもとても良かったです。本当に芳醇な音楽。
▽舞台など
ハイナー・ゲッベルス「Black on White」@春秋座 (10/27)
神里雄大/岡崎藝術座『バルパライソの長い坂をくだる話』@芸セン(11/3)
水中エンジントーク@京都芸術センター(7/22)
宝塚記念(6/25)@阪神競馬場
有馬記念(12/24)@京都競馬場 ※中継
→ゲッベルスは現代の音楽劇のマスターピースを見せられた感じでした。ただ敬服しすぎると良くないので、この後で自分たちに何ができるかはずっと考えていきます。神里雄大/岡崎藝術座『バルパライソの長い坂をくだる話』は、演劇(そんなにみてませんが)ではぶっちぎりのベスト。アルゼンチンの俳優での上演で字幕だとどうかなと思ってましたが、かえって良いくらいでした。テキストが本当に素晴らしく、いつもこのテキストのパワーと軽さに虜になります。水中エンジントークは浅田彰さんの國府さんへの愛に少し笑い、また感動しました。トークをエンターテイメントにするのは流石。競馬2本については、両方とも1番人気の馬は同じで、前者はその馬が負けた際の静けさ、また後者はその馬が買って引退の大団円で、その両方が堪能できてよかったです。
▼その他・小説、戯曲、映画、場所など
源信 地獄への扉@奈良国立博物館(7/15)(展覧会)
裏声から歌へ@小山市立車屋美術館(6/3)(展覧会)
東 浩紀「ゲンロン0 観光客の哲学」
星野 太「崇高の修辞学」
千葉雅也「勉強の哲学 来たるべきバカのために 」
ニュー雲仙(喫茶店)
→「裏声から歌へ」展は自分の東京レコ発ライブ前にみて、すごい衝撃と感動を受けました。私は遠藤水城さんのキュレーション、ツボみたいです。「源信 地獄への扉」は地獄や人の死後についての絵や曼荼羅が堪能できてよかった。書籍ははやりのものが多いかと思いますが、どれも面白く読み、自身の活動に大きな影響を及ぼしました。喫茶店ニュー雲仙は自分今後の生き方を考えさせられるような場所でした。大きな決意やこだわりをもたずにとある領土で生きていくこと、そのお手本をほんとうに勝手にみた気がします。
何か忘れているような気がするのですが、この後におそらく年を越してしまう「対蹠地」の反省文もありますので、ひとまずこのへんでまとめておきます。今年は1月に中川裕貴、バンドのCDリリース、3月に京都でそのCDリリースライブ。また4月に時差の公演(和田ながらさんとの初共同制作、また此処で年末の公演に出でくれた俳優の方との出会いも)、5月に大阪でCDリリースイベント、6月に東京でCDリリースイベント。7月に水中エンジンReduxで國府さんの水中エンジンの音を使ったパフォーマンス作品を、出村さんの萌さんと。9月、10月と烏丸ストロークロックとの「音楽と物語」、あと10月に円盤・田口さんを招いた「日本とタンゴ」のイベント、11月にアサダワタルさんの東京・小金井での「想起の遠足」での演奏。そして12月は京都芸術センターでの中川バンド「対蹠地」。そして昨日の餅つき音楽、、、、と、これを自慢したいわけではありませんが、ほんとうに限界をとうに超えてしまう物量と濃度でした(リーマン、良く生きて此処までこれたな、、、)。が、2018年も2,3月と烏丸ストロークロックの本公演がございます。こちらも音楽がかなり重要なので必死にやりたいと思います。あと4月にもまだお知らせできないですが、大きなのがあります。その後は一度死ぬ予定ですが、また来年もよろしくお願いします。来年はもっとソリッドな決断ができる大人になりたいと思います(特に競馬で)。良いお年を。
<2016年>
■録音作品
1. Johan Dalgas Frisch - Sinfonia Das Aves Brasileiras
2. Johan Dalgas Frisch - Aves Brasileiras
3. Osvaldo Pugliese - El adiós
4 .OSVALDO PUGLIESE & ASTOR PIAZZOLLA - Finally Together Volume Ⅱ
5. Vektor - terminal redux
6. 滝沢朋恵 - abcb
7. Andy Stott - Too many voices
8. Errorsmith & Mark Fell - Protogravity EP
9. LORENZO SENNI - persona
10. Alvin Curran - Solo Works: the '70s
→2016年は一言でいうと「タンゴ/鳥/テクノ・トランス」です。やはり1~4の二人に出会えたことが最大の収穫でした。1,2はブラジルの鳥類学者が採取したアマゾン川とかにいる鳥の鳴き声と、古今東西の名曲をミックスした70~80年代のレコード。この人はこれ以外にもアマゾン川の様々な音を集めたレコードなどあり。この人の作品は単に現地録音モノとか環境音モノと違って、配置や構成にすごい音楽を勝手に感じました。これまでミュージックコンクレートとか電子音楽とか愛聴してきましたが、「あれ、これの方が遥かによくないですか?」とか思いました。音に対する愛情ってこういう形もあるのかと思い知らされた一品。3,4はアルゼンチンタンゴの大御所、プグリエーゼ関連のもの。タンゴにドはまりするきっかけになった人がこのひと。タンゴというまっとうな音楽なのに、構造がマジでなんとも掴めない、でもきわめて美しく、それに加えて場末の酒場(酔いどれサウンド)を思わせる感じは今最高潮に自分にしっくりきています。マジで今後の人生の大部分をタンゴに捧げようかと今は思ってたりしますが、先のことはわかりません。あと4のラスト曲、La yumbaからピアソラのadios noninoへの流れは、現在自分史の中で一番素晴らしい音楽となっています。5は気になるあのひともこの人も絶賛していましたので聴いてみました。とてつもない展開、場面が続くハードロック/メタルです。ある人曰く、「メタル」というジャンルが自我を持って音楽を奏でているとのことですが、ほんとそんな感じがします。タンゴもですが、こちらも大変複雑な構造体で衝撃を受けました。既知のものから異様な構造体が立ち上がってくる稀有な例。あとタンゴとメタルに結び目が見えるような気がするのですが自分だけでしょうか?6.滝沢さんの音源、前作よりさらによくなってました。女性の歌ってことに限定すれば今年滝沢さんしか音源は聴いてないのではないかと思います。今年は企画にお呼びして、ライブも拝見でき、そちらも素晴らしかったです。7.なんかスルーしてきたというか、もうこの辺りはええかなと思ってたのですが、 Andy Stottは知れてよかったと思える人でした。このジャンルの人は大抵バキバキで、音楽というか「刺激」って感じなのですが、この人はその辺りすごくバランスが良くて、かつなんというか「人の不在感」が音に表れていてすごく良かったです。影響を受けました。8もその中の1曲、人の声みたいな音が入っているのは大変影響されました。しかしmark fellは3年くらい前からずっと何かしら衝撃をうけている。9は去年も別作品であげてましたが、今回はwarpからリリースのもの。これまでよりかなりキャッチーでワープ仕様ですが、音の情緒的な部分の切断、切り出し、ある部分だけの反復というような形式は今回も健在で、7とは違った角度での「音楽の不在感」があります。10はずっと欲しかったのですがようやく購入。やはり無茶苦茶に良いですね。ここまですごい音の極楽鳥が作り出せるのは、この人とASUNAさんだと僕は思っています。
次点:
Juan D'Arienzo -s/t
入江陽 - SF
radian - on dark silent off
Lifetones - For A Reason
■舞台/ライブ:
<ライブ/イベント>
1. アサダワタル@みっけ此花2016
2. 7つの船(梅田哲也ほか)@名村造船所→本町船着場
3. Species pluralis@外
4. 有馬記念(競馬)
→1は自分も参加させて貰ったイベントでのアサダさんのライブ。FM電波から聴こえてくるアサダさんの歌、川を船で下りながら歌うアサダさんの姿、船を追いかけ、川に沿って歩いていくとき川沿いにあった景色や仕掛け。歌を聴き、姿を追いかけ、街を歩き、何でもないものを見て、また何かを探していく、その中に本当にいろいろな物語があって、街を歩きながら小説を読んでいるような感覚になりました。最近観たアサダさんのパフォーマンスの中でベスト。そして米子さんたちの場所や歩くルートのセレクトも最高でした。ある場所を知っていく、ある場所で生きていくことの大切さを示した稀有なイベントでした。2も系統としては同じですが、こちらは僕たちも船に乗って。名村造船所付近でみた景色はこの後死ぬまでに何度も夢に出てきそうなほどのもの。隔たった場所から陸地を眺めると、こんなにも対岸の人や現象が「何かの登場人物」に見えてきてしまう不思議。最後終点付近の道頓堀はさながら死後の世界の桃源郷のようでした。みんながこちらに手を振るのでした。3は演奏もさることながら、そのあと、演奏終了後からSEが流れるまでの時間の中に聴こえた音があまりも異様で、それはその前の演奏が関係していると思うので挙げました。あんな無音初めて聴いたわ。4は京都競馬賞で中継みてただけなのですが、第3か第4コーナーでサトノダイヤモンドがキタサンブラックに並ぼうとしたところ、あと最後の直線のサトノダイヤモンド、キタサンブラック、ゴールドアクターの三つ巴に大変興奮しました。しかし固いレースでしたね。
その他下記のものも良かったです。
空間現代 - 擦過@外
ALTERED STATES@UrBANGUILD
入江陽トリオ@UrBANGUILD
<舞台>
1. 悪魔のしるし「わが父、ジャコメッティ」@国立国際美術館
2. フェデリコ・レオン「Las Ideas」@京都芸術センター
3. チェルフィッチュ 『部屋に流れる時間の旅』@ロームシアター
今年舞台あまり観てないのですが、とりあえず良かったのを。
悪魔のしるしはまた観たいな。ほんとに。あと下記のも良かったです。
素謡の会 第3回-葵上@京都芸術センター
■その他・小説、戯曲、映画、場所など
村川拓也 - 沖へ@METRO<映画>
黒澤清 - ダゲレオタイプの女@京都シネマ<映画>
はならぁと高取会場@奈良県高取町<展示>
円城 塔 - リスを実装する<小説>
山田亮太 - オバマ・グーグル<詩>
エドゥアルド・ヴィヴェイロス・デ カストロ - 食人の形而上学: ポスト構造主義的人類学への道<哲学>
長門 洋平 - 映画音響論―溝口健二映画を聴く<評論>
神保町のタンゴ喫茶 ミロンガヌオーバ<場所>
→村川さんの映画、すごい良かったです。はならぁと高取会場はアサダさんのパフォーマンスや7つの船とも呼応するような、対岸、同じ時間の別の物語、他者について考えさせらえる素晴らしい展覧会でした。「リスを実装する」は短いながらも円城さん最高と思える一品。「映画音響論―溝口健二映画を聴く」は読んでいてめちゃくちゃ感動したのに、いまだに溝口映画はひとつもみていない。
▼未だ処理に困っているもの
Phew - A New World(音楽)
地点 - スポーツ劇(演劇)
ハッピーアワー(映画)
あとはしたため「文字移植」も結構引っかかっているかな。
うまく話せない。話すとこんがらがってくるものたち。
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