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Diary|My Best Hits 2024



2024 Best:

1. Viêt-Nam Nouvelle Musique Traditionnelle(Ocora)

2. PCM録音による心の旋律 鼓の世界(Denon)

3. Nana Vasconcelos - Saudades(ECM)

4. Morton Feldman - Feldman Edition 14: Complete Music for Cello & Piano(MODE)

5. RADIOHEAD - A MOON SHAPED POOL(XL Recordings)

6. Rafael Toral - Spectral Evolution(Drag City)

7. SND - 4,5,6(SND)

8. Limpe Fuchs / Mark Fell - Dessogia / Queetch / Fauch(Black Truffle)

9. CS+KREME - The Butterfly Drinks The Tears Of The Tortoise(The Trilogy Tapes)

10. 宇多田ヒカル - SCIENCE FICTION(ソニー・ミュージックレーベルズ)


→まずは音関係から。順不同。今年は何かと海外などへの移動も多く、自主企画などでもバタバタしていたので、そんなに深く聴けてませんが、聴いて印象に残ったものを。


1はOcoraからリリースのベトナムの「新しい伝統音楽」と題された作品。おそらくはベトナムの伝統的な楽器(ベトナムの箏=こと=ダン・トランなどが中心)を使用した作品で、かつ「新しい」音楽とのことですが、その新しさはひとまず置いておいても、とにかく音が良く、オーディオチェックにも使えるというのも納得の音質。特にシンティエン/Sinh Tienというギロみたいな板に鈴がついた楽器の音がとても好きです。2は奈良のシルエロレコードで買ったもの。鼓をPCM録音した作品ですが、白眉なのはB面。お江戸日本橋やテイク・ファイブなどのメロディーを鼓が担い、鼓の音でメロディーが無理やり紡がれる部分が最高です。こういう「こんなことしなくても良いのでは?」的楽器の使い方が好きです。3はECMの大分昔のリリースを今更聴き、大変感銘をうけました。ブラジルの打楽器奏者ナナ・ヴァスコンセロスの「ベリンバウをオーケストラで聴きたい」という夢を実現したの作品らしく、Egberto Gismontiが弦楽器の編曲を担当。だからなのか、なんとも言えない西洋とそれ以外(この場合はブラジルなど?)の混淆が聴こえます。今年はソロアルバムのレコーディングをしていたのですが、間接的にこの音像にかなり影響を受けました。ECMのそんなに良いリスナーではありませんが(どちらかというと苦手)、これはとても良いものでした。4は毎度のFeldman、今年リリースのチェロとピアノの作品集ということは自分のためのものじゃないかということで。中身も大変素晴らしかったです。5は何で今更?という感じですが、ずっとスルーしてて今聴いたら良かったです。特にストリングスが多めなところが好み。


6はなんだかお久しぶりな気がするRafael Toralの新譜。3と同じく、ソロアルバムのレコーディング時に大変感銘を受けた作品。ギターの音を中心としてその周りに電子音が配置される感じの作品ですが、その説明では言い尽くせない豊潤さや逸脱があります。あと432HZでチューニングされているのもあとで知って、何気に納得しました。7のSNDはもう説明不要ですが、アナログでリイシューされたものを改めて購入して聴いて、やはりとんでもないなと思いました。ここまで鋭利であり、「表面」的である音は他にはないのでは。8もMark Fellの作品で3枚組。Limpe Fuchsのことは全然知らなくて、その上で聴きましたが、楽器と電子音のコラボレーションという意味で、絶対的なオリジナリティがある作品だと感じました。まだまだ聴き込みたい異様な次元/奥行のある作品で、KAKUHANの活動にも影響を与えるものだと思いました。9は自分が参加したのを差し置いても、大変ユニークな音源。こんな音の集合体、他になかなか無いのでは?じわじわとくる怪盤だと思っています。10は私も歳をとり、徳を少しは得て(いや失って)わかるものがあるなあと、ヒッキーの音楽に思いましたとさ。


あとは「Michael Ranta, Takehisa Kosugi - Multiple Musics(Metaphon)」については、秋のKAKUHANヨーロッパツアーでこの作品が録音された場所(ケルン日本文化会館)に足を運ぶことができ、それがまさにリリース直後かつ完全に偶然だったのでとても興奮しました。こちらも素晴らしい作品です。


 

・印象残った行事👇

1月~12月で時系列で記載します。


2/17 哀れなるもの

3/5 ヴェルクマイスターハーモニー

4/28 KAKUHAN at Inkonst(Intonal2024|スウェーデン・マルメ)

5/27 関心領域

6/8 YPY × シークレットゲスト at UrBANGUILD

6/29 荒木優光『空き地のTT』at ロームシアター京都

8/10 池田武史 個展『Space X』

10/5 Nídia & Valentina at OUT.FEST(ポルトガル・バレイロ)

10/23 田口史人『日本とタンゴ』at 外

11/9 小杉武久の2024 at 粟津潔邸

11/10 CS+Kreme at 外

11/18 立石雷 at UrBANGUILD


→2月、映画「哀れなるもの」は作品もですが、音楽がかなり良かったです。楽器の音を無理やりへし曲げたアレンジが面白く、そしてかなり若い人が音楽やっていて刺激をうけました。3月タル・ベーラの映画「ヴェルクマイスターハーモニー」を念願かなって。冒頭の酒場のシーンが余りにも理想的過ぎて心の中で泣きました。4月ヨーロッパツアーのスウェーデン・マルメでのKAKUHANの演奏、誰も観てないと思いますが、実はめちゃくちゃ良かったと思っています(弓がコペンハーゲン空港でロストして、借りたものでやったのですが、その逆境も良かったのかもしれない)。映画「関心領域」は今年1番心に残った作品かもしれません。2回観た。6月のYPYとシークレットゲストの演奏は、来られた方は同じ意見なのではと思います。6月、8月の荒木さんのパフォーマンス作品、そして池田さんの個展はどちらも同世代として大変刺激をうけるものでした。どちらも単なる「価値」や資本主義の道の上であぐらをかくような表現とは一線を画す試みだと思いました。10月はKAKUHANヨーロッパツアー中に、ポルトガルのOUT FestでみたNídia & Valentinaのパフォーマンスがとても良かったです。ビートとドラムによるどこまでも上がっていくトライバルさ。また帰国後の田口さんの傑作レコード寄席「日本とタンゴ」はやはり音を通じた文化を体験するという意味では大変素晴らしいものでした。11月は小杉さんの展覧会。会場の粟津邸を含めて、その場所で鳴らされた小杉さんの音やバイオリン(初めて間近で観た)などとても印象に残りました。そして自主企画でのCS + Kremeのパフォーマンスも大変素晴らしかったです。コラボレーションも良い感触でやれました。そして立石雷さんのリリースパーティーでの演奏も大変素晴らしかった。楽器の音を生かすこと、そこから外側へいくこと(例えばエフェクターやマイクを使うこと)のバランスとその楽器(息を使うタイプのもの)を使うことの必然性をまじまじと感じるパフォーマンスで大変刺激をうけました。私も頑張らないと。



 

あとは私的な振り返りを。


1月に2024年の京都市芸術文化特別奨励者に選んで頂いて、そのあと祖父が亡くなりバタバタしつつも怒涛の活動計画を実行へと移すスケジューリングを。そして1月末にはgenseiichiくんとのDUO@外からライブはスタート。その後、2月は体調悪く(寒いとほんとうにダメですね、、)ボチボチと生きながら、3月は芳垣さんの名古屋・得三イベントに呼んで頂きセッションを。ほんとうに久しぶりの名古屋でのライブでした。そして4月はKAKUHANヨーロッパツアーその1。チェコ・ブルノ→ドイツ・ハンブルク、ベルリン→そしてスウェーデン・マルメと周りました。初めての単独渡航、緊張しましたが、なんとかチェコに一人で行けました。ブルノの街の素晴らしいさとフェスティバルで話したチェコの人々のことを思いだしています。また長く滞在したベルリンでは沢山の人に会えて、またお世話になりました。Rashad Beckerのスタジオに行けたのも忘れ難い思い出です。またスウェーデン・マルメ、Intonalでの演奏は先にも書きましたが、おそらく自分がこれまでライブをしてきた中で一番良い音の会場でした。みんな優しくプロフェッショナルでInkonstではまた必ずライブがしたいし、スウェーデンのことが大好きになりました。そして4月/5月は「かつてなく自由にダンスを名乗るための煙が立つ会2024」というダンスの企画コンペで、したための和田ながらさんのお手伝いをしました。プレゼンにはいけませんでしたし、選考には漏れてしまいましたが、やっていた試みはとてもおもしろいので、また広げていきたいところです。


5月はKAKUHANヨーロッパツアーその2。この時はUK→ドイツといきました。UKはブリストルとロンドン。ブリストルのStrange Brewはめちゃくちゃ良い会場で、また平日にも関わらずたぶん200人くらい来てくれUKでの歓迎具合は大変ありがたかったです。ロンドンはかなり会場含めてDEEPでちょっとビビりましたが、愉しくやれました。そしてそのあとはドイツでMores Feativalに参加。KAKUHANでの演奏に加えて、ソロでセッションに参加したり、車の荷台に乗って演奏したりと4日間くらいに滞在し、フェスティバルを満喫しました。このフェスティバルは50年以上あるフリージャズをメインにしたもので、お客さんもそのことを誇りにもっている感じがしました(そういう意味ではこれまで参加してきたフェスティバルとの違いも感じました)。またそういったことから、音楽の「自由」みたいなことについても少し考えました。6月はまずアバンギルドで自主企画をYPY、立石雷さん、そしてスペシャルゲストを招いて。とても良いイベントだったと思います。そしてそのあとは九州大学でKAKUHANのライブを、Tomeka Reid Quartetと共演しました(うまいチェリストの演奏をみて勉強するの巻)。また翌日は京都・外で空間現代・野口さんとのDUOを。ブラジルのリリースイベントでしたが、素晴らしかったです。特にハクション中西さんのネタ「二分でわかる"三分"」のカバーがすごかったです。


7月はDJを外でして、このあたりから年末コンサートの下準備を少しずつ。またシネヌーヴォで開催した夏休みの映画館では、2回目のチェロレクチャーコンサートを(高畑勲監督のセロ弾きのゴーシュの上演後にやりました)。この企画、そしてシネヌーヴォという場所がとても好きです。来年も何かしらのかたちでいければと思っています。そしてここからは通称「歌逆」の稽古へ。8月はなかなかにハードで、まずはアバンギルドで今年亡くなってしまったユーグ・ヴァンサンの追悼ライブを。おそらくチェリストということでは初めて「一緒に音をだした」仲だったので、これからもユーグと演奏したことを忘れず活動していきます。そしてそのあとは新作音楽公演「歌と逆に。歌に。」。公演としての難しさはあれど、詩と音をどのように拮抗、融合、対抗させるかの作業は大変良い経験になりました。そして何より「小野十三郎」という詩人を知れたことも大きいことでした。そしてそのあとは長野・松本で今年1本目の山月記を。松本市美術館の中庭で、大友良英さん、小暮香帆さんのDUOと時間/場所を分け合う形での上演でした。初めて雨が降る中での上演は個人的にも印象に残り、あと松本という場所の素晴らしさもまじまじと体験できました。呼んでくれた倉田さんに感謝。なお8月末は外での周年イベントでの山本精一さんとのDUOが台風の影響で亡くなってしまい残念でした。9月はまず田口さんと久しぶりのトーク+ライブイベントを開催。この日はスペシャルゲストを招いてワールドミュージック編をお届け。そしてそのあとはまたまた山月記。今度は豊岡演劇祭で宝塚市と香美町の2か所での上演。特に宝塚では大変多くの方にご覧頂きました。改めてありがとうございました。これまでにない都会?の河川敷での上演も意外とマッチしていたのではないかと。そのあとは京都国立博物館明治古都館での完全アコースティックでのソロ演奏を。残響、空間の感じが素晴らしくまた演奏したい場所です。


そのあとは今年三回目のKAKUHANヨーロッパツアー。まずはデュセルドルフへ。Velvetではソロ演奏もやりました。スタッフのみんながめっちゃ良いヒトたちでとても楽しかった。またデュセルドルフには六日間くらいいたのですが、その間沢山の現地の方とお会いしご飯など食べることができました。お世話になったみなさんどうもありがとうございました。そしてその後はケルンへ。こちらでもソロ+KAKUHANでの演奏を。ケルン大聖堂がとにかくすごかったのと、先に書いたケルン日本文化会館にいけたこと、またケルンの伝統的な食べもの(血のソーセージ?)も堪能できたのも良き思い出。そしてその後はポルトガル・バレイロへ。OUT.Festというフェスティバルに出演しました。同フェスティバルには、fujillllllllllltaさんも出演されてました。初のポルトガルは食べ物も美味しく(特に海鮮。そういえば、南蛮漬けみたいなの食べていて、「なんか南蛮漬けみたいだな?」と思ったここが南蛮だということもありました)、またフェスティバルも素晴らしく、KAKUHANも良い演奏ができたと思います。フェスティバルのダイジェストが下記にあります。


そしてそのあとはスペイン・バルセロナへ。バルセロナ、まず10月でこの暖かさ、、、と思いました。イベントや宿など含めてLolo & SosakuのSosakuさんに大変お世話になりました。またライブ後は観光しまして、サクラダファミリアにもいきました。バルセロナはヨーロッパの中では住めそうという感覚があります。


そして帰国後は、うめきた公園で威力さん(1729)との初コラボレーションを。雨で急遽場所が変わりましたがそれも功を奏したような演奏ができたかと。最初は少し懐疑的な気持ちもありましたがこの場所は様々な面でとても素晴らしいと思いました。そしてそのあとは再度の円盤・田口さんとのイベント、アルゼンチンタンゴ編を。これは本当に名演なので、また必ずやりたい。そして自分のタンゴソロはボロボロでした。11月には小杉さんの展示@粟津潔邸にいったり、歌舞伎町での威力さんDJを聴いたりしつつ、そのあとは外でCS+Kremeをお招きしイベントを開催。山本精一さんにも出演頂きました。この日のCSのライブは本当に素晴らしかった。そして今年は外で沢山ライブさせていただきました(ありがとうございました)。また11月は芳垣さん企画で、アルゼンチンからSantiago Vazquezを招いたイベント。同氏は大変素晴らしいミュージシャンでした。


12月ロームシアター京都での「弓耳」の稽古に邁進し、このようなかたちでなんとか終演と相成りました。こちらの反省はこれから書いていきます。


あっあとそれに加えて、公演パンフレットと称して、久しぶりの音源もリリースしました。こちらの音源はこのあとWEBでも購入できるようにしますので、またお知らせします。音源は単なる付録のCDとは違って、内容かなり良いのでは思っていますので是非聴いて頂きたいです。


・・・


いつも振り返ると大体長すぎるのですが、今年は特に奨励者のこともあって、沢山企画しました。お付き合いいただいた方、本当にありがとうございました!なお今年リリース予定だった作品がいろいろと遅れているので、来年というか2025年はいろいろとリリースがありそうです。

予定としては、、


・KAKUHANセカンドアルバム

・中川ソロアルバム


これらは間違いなくリリースされるはずです(これ以外も何かしらあるかも?)。

そちらもご期待ください。


それと奨励者としての活動は今年3月まで続きますので、引き続きいろいろと活動してまいります。そしてそのあと=次年度は公私ともに色々と変化を加えつつ、また海外にもいけたらと思っています。ロームシアター京都での4年ぶりコンサート~ヨーロッパツアーから、果ては町内会の行事当番(溝掃除で食べるパンの買い出し…)と大変な1年でしたが、なんとかやり切った自分をほめてあげたいと思います。また来年というか今年もどこかでお会いしましょう。



追伸:

クストリッツァ監督の「アンダーグラウンド」を年始から見た。

一生忘れない映画だと思いつつ、監督の現在の政治的な立場も同時に思う。


そして、この映画が描いたような誰かが自分の居場所を追われるような「暴力」、ただその暴力がなくなる世界が来るように、また来るようにできることをやらないといけないとも同時に考えました。





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